報酬月額とは?健康保険料・厚生年金保険料や等級との関係もわかりやすく解説
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報酬月額とは?健康保険料・厚生年金保険料や等級との関係もわかりやすく解説

会社員の方や企業の人事労務に関わる方などの中には、「報酬月額」という言葉を目にしたことがある方も多くいるでしょう。報酬月額は社会保険料と共に語られることが多いですが、正しい意味を知らない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、報酬月額の意味や健康保険料・厚生年金保険料との関係、健康保険料・厚生年金保険における標準報酬月額の決め方などをわかりやすく解説します。企業の人事労務に関わる方や、報酬月額の意味や厚生年金保険料との関係、標準報酬月額の決め方などを詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.報酬月額とは?意味を簡単に解説!

報酬月額とは、会社から支給される基本給に、役付手当や通勤手当、残業手当などの各種手当を加えた「1ヶ月の総支給額」のことです。

報酬には、賃金・給与額・俸給・残業手当・賞与など、被保険者が労務の対償として受けるものすべてが含まれています。ただし、大入り袋や見舞金といった臨時で支給されるものと、年3回以下の賞与は、報酬とはみなされません。また、年4回以上の賞与や複数月分の通勤手当など、毎月得られるわけではない報酬がある場合は、予定年額を1ヶ月分の月平均額に均して計上します。

報酬月額は厚生年金保険料の決定に大きく関わってくるため、会社で働く方にとって重要な数字であると言えます。

2.報酬月額と厚生年金保険料の関係

厚生年金保険料は、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめた「標準報酬月額」によって決定されます。しかし、具体的にどの程度の報酬額の場合、どのくらいの厚生年金保険料が発生するのか気になる方もいるのではないでしょうか。

ここでは、厚生年金保険料の計算方法と標準報酬月額の等級、等級・厚生年金保険料の確認方法を詳しく解説します。

2-1.健康保険料・厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料の計算方法は、標準報酬月額に規定の保険料をかけることで算出できます。保険料率は、標準報酬月額の数値に関わらず一定で、18.3%固定となっています。そのため、簡単に計算することが可能です。

賞与が年3回以下の場合は、標準報酬月額とは別に、賞与の保険料が厚生年金保険料に加算されます。そのため、賞与が年3回以下であった場合は、賞与額に規定の保険料率である18.3%をかけることで、厚生年金保険料を算出することが可能です。

2-2.標準報酬月額は等級で区分される

健康保険制度の標準報酬月額は、1から50までの等級に区分されており、最も低い1等級と最も高い50等級を除いたすべての等級には、上限値・下限値が定められています。
現在では、最も低い1等級は58,000円、最も高い50等級は1,390,000円となっています。

標準報酬月額の上限値に該当する者が、3月31日現在で全被保険者の1.5%を超えた場合は、その年の9月1日から一定の範囲内で標準報酬月額の上限を決め直すことが可能です。

2-3.等級や厚生年金保険料の確認方法

厚生年金保険料は、給与明細の厚生年金保険料欄で確認することが可能です。また、標準報酬月額の等級は、保険料額の等級表に厚生年金保険料を当てはめることで確認できます。

保険料額の等級表は、全国保険協会などから公表されているため、インターネットの環境下にある方であれば、自分で簡単に確認することができます。
ただし、保険料額表は勤務地や給与対象年月によって使用する異なるため、正しい表か否かを確認したうえで使用しましょう。

3.厚生年金保険における標準報酬月額の決め方

厚生年金保険料を直接決定する基準は標準報酬月額ですが、報酬月額を決めるためには、まずは標準報酬月額を決める必要があります。しかし、とくに人事を担当することがはじめての方の場合は、具体的にどのように標準報酬月額を決めれば良いか分からず、悩むことも少なくありません。

標準報酬月額の決め方には、以下の3つがあります。

  • ・資格取得時の決定
  • ・定時決定
  • ・随時改定

ここからは、3つの標準報酬月額の決め方と、それぞれの注意すべきポイントを詳しく解説します。

3-1.①資格取得時の決定

資格取得時の決定は、事業主が従業員を雇用したタイミングで行われるものです。

事業主が従業員を雇用した時点では、報酬を支払った実績はありません。そのため、事業主は就業規則や労働契約などに基づき、資格取得時の決定の規則に則り、被保険者の報酬月額を届け出ます。

通常、一度決定された報酬月額は1年が経過するまで変わりませんが、資格取得時の決定で決まった報酬月額は、その年の8月に再び決め直されます。事業主が従業員を雇用した日付が6月1日から12月31日までの間であれば、次の報酬月額の決定は翌年の8月となるため、報酬月額が決定するタイミングに注意しましょう。

3-2.②定時決定

定時決定は、被保険者が実際に受け取った報酬と、標準報酬月額との間に大きな差が生まれないよう、毎年1回届け出の内容に基づいて標準報酬月額を決定し直すことを指します。

定時決定は毎年7月から行われており、その年の4月~6月の報酬総額を1ヶ月分に平均した額が、その年の報酬月額となります。決定された報酬月額は、その年の9月から適用され、翌年の8月まで継続されます。

ただし、4月~6月のうち、支払いの基礎となる日数が16日未満の月は、報酬月額の計算対象に含まれません。たとえば、6月に何らかの理由で休職し、報酬が10日分しか支払われなかった場合は、4月と5月の報酬総額を足して、2で割った数字が報酬月額となります。

3-3.③随時改定

昇給や降給など、報酬額が大幅に変動するような出来事が起きた場合、定時決定を待たず標準報酬月額が決め直されることがあります。このことを、随時改定といいます。

随時改定は、報酬が変動したタイミングで行うものであるため一定ではありませんが、算定された報酬月額は、その年の8月まで適用されます。7月以降に随時改定を行った場合は、翌年の8月までとなるため、随時改定のタイミングには注意しましょう。

4.4月~6月の報酬月額を抑えると厚生年金保険料は安くなる?

報酬月額は、その年の4月~6月までの報酬総額を月ごとに均した額です。そのため、残業を減らせば4月~6月までの報酬を抑えることができ、厚生年金保険料の負担額を減らすことができるのではないかと思われる方も多くいるでしょう。

4月~6月の報酬を調整して、厚生年金保険料を安く済ませることは可能です。しかし、報酬月額は、健康保険により給付される医療手当額や年金額などの計算にも使われています。そのため、報酬月額を減らすことは、その分病気で休業した際に受け取れる手当などを減らすことに繋がります。

意図的に報酬月額を減らすことは不可能ではありませんが、必ずしも得となるわけではありません。4月~6月報酬を調整する際は、十分に注意しましょう。

まとめ

報酬月額は厚生年金保険料の決定に大きく関わっており、報酬月額を一定の幅に区分した標準報酬月額に規定の保険料率をかけた数値が、厚生年金保険料となります。そのため、給与明細に記載されている厚生年金保険料を見れば、自分でも簡単に標準報酬月額を確認することが可能です。

厚生年金保険における標準報酬月額の決め方は大きく分けて3つあり、従業員として雇用されたときや、昇給や降給など報酬が大きく変動したときなどに決定されます。標準報酬月額の決め方によって、報酬月額が適用される期間は異なるため、注意しましょう。

厚生年金保険料は、4月~6月までの報酬を減らすことで、標準報酬月額を下げることが可能です。ただし、受け取れる手当や年金額を減らすことにもなります。損をしないためにも、事前に報酬月額や標準報酬月額のしくみをしっかりと理解し、仕事に取り組みましょう。

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